出社至上主義という呪縛 ― 出社するだけで、意義はある!? ―

【仕事とパフォーマンス】「ベストでないなら、休むべきか?」
金融の現場で20年を過ごす中で、私は「常にベストでなくとも、それに準ずるパフォーマンスを出すべきだ」と強く実感するようになりました。
ところが、世の中には「とにかく出社することに意味がある」と信じている人も一定数存在します。彼らは体調が悪かろうと、気力がなかろうと、出社すること自体を正義とし、ただ職場に“いる”だけになってしまうのです。
ですが、これは本当に正しい選択なのでしょうか?
私は疑問に思います。
出社=貢献ではない
私は突発休を推奨しているわけではありません。しかし、自分のベストパフォーマンス、もしくは業務に必要な最低限のパフォーマンスすら出せない状況なのであれば、あえて出社しない選択をしてもよいはずです。
なぜなら、
- ある程度の人数が在籍する企業であれば、欠勤も織り込み済みで人員構成がなされている
※そもそも、数人欠けただけで運営が滞るような組織体制であれば、それ自体の見直しが必要でしょう。 - 無理をして出社し、重大なミスを引き起こしてしまえば本末転倒
- 仮に感染症にかかっていた場合、同僚に移すリスクが発生する
※かつての感染症拡大時の緊張感、皆さんもうお忘れではないでしょうか? - 自分の健康以上に重要な業務は存在しない
だからこそ、「今日は自分が納得できるパフォーマンスが出せない」と判断したら、堂々と休んでも良いと思っています。
無理をせず、体調を整え、最高のパフォーマンスで仕事に臨む。
それこそが本当の意味での“貢献”であると、私は信じています。
私も入社当時は、先輩社員から這ってでも出社しろと言われたものです。私もそれに共感していた時期も確かにありました。
しかし、満足のいくパフォーマンスが出せそうにないとき、“這ってでも出社する”ことが必ずしも正解ではない——。
それは、私が金融機関で20年間働く中で、ようやくたどり着いた一つの真理です。
私の経験
実はこの記事を書こうと思った背景には、私自身の経験があります。
体調を崩しかけていた私は、大事を取って突発的に1日休みをいただきました。
ところが翌日出社すると、隣に座る上席者から無愛想に「体調管理はしっかりしてくださいね」とのひと言。
一見すると気遣いの言葉に聞こえるかもしれませんが、その口調や表情には、思いやりや心配といった雰囲気は一切なく、「この組織では突発休は認めない。」という圧力を感じさせるものでした。
表面上は「はい」とだけ返しましたが、内心では「その体調管理のために休んだんですけど」と思ったものです。
このような“出社していれば偉い”という空気こそが、日本社会に根強く残る 出社至上主義の典型ではないでしょうか。
自分がいなくても、組織は回る
もし「自分がいないと会社が回らない」と思っている方がいたら、それは多くの場合、自分を過大評価しているかもしれません。
もちろん、代えの効かない特殊なスキルや立場の人はいます。医師や一部の技術職、”大谷翔平選手”などは別格でしょう。しかし、私たち一般的な会社員においては、よほどのことがない限り代わりは効くものです。
実際に、私の職場でも「この人が辞めたら、このチームはどうなってしまうのだろう…」と言われていた人が何人も退職していきました。しかしその後、チームは滞ることなく、何の問題もなく業務を継続しています。
要するに、1日や2日、たとえそれが突発的な休みであったとしても、一社員が不在になったところで組織への影響はほとんどないというのが現実なのです。
ただし、特に体調が悪いわけでもないのに「気分が乗らないから」といった安易な理由での休暇取得はおすすめしません。
そうした理由で休みたくなるようであれば、そもそもその業務に人生の貴重な時間を費やすことが本当に適切か、一度立ち止まって考えてみるのもよいかもしれません。
休みに口を出す人に振り回されない
適切な手続きを踏んで正式に休みを取ったにも関わらず、その突然の「休み」に対して文句を言ってくる人がいたらどうするか?
答えは簡単です。
「完璧に無視してOK」
それがたとえ上司であろうと経営者であろうと、です。
そういう人間はただ単に器が小さいだけです。気にする必要はありません。
もしそれが経営者であれば、その会社との価値観のズレを見直す良い機会かもしれません。

「休む」ことは、プロの選択でもある
私たちが何かを継続して成果を出すには、「無理をせず続ける」ことが重要です。
なぜなら相場でもトレーニングでも勤務先の会社でも、それを続けることに意義を感じるのであれば、長期間携わらなければ成果は得られないからです。
どんなに優れたスキルがあっても、燃え尽きてしまえば意味がない。だからこそ、長く続けるためには“休む決断”も必要なのです。
”はたらく”の語源は、”はた”「傍」を”らく”「楽にする」と言われています。
無理をせず、体調を整え、最高のパフォーマンスで仕事に臨む。それこそが本当の意味での組織への“貢献”であると、私は信じています。
まとめ
- 一定のパフォーマンスが出せない時は無理に出社しない
- 一社員が数日休んだくらいで会社は止まらない
- 突発休に対して文句を言ってくる人間は無視してOK
- 「続ける」ためには、時に「休む」ことも大切
こうした視点を持つことで、自分にも、周囲にも余裕を持って働けるようになるはずです。
あなたは、しっかり”休養”も取れていますか?
本日の名言
“休息は準備の第一歩” ― Michael Jordan
“疲労を予防することは、悩みを予防することに通じる。たびたび休養すること。疲れる前に休養せよ。” ― Dale Carnegie
“休むも相場” (野村證券HPより)
※冷静に全体の相場を見渡すためにも、意識的に休むことが大切という格言。